いまこそ世界史を読み直そう編
いずれにしても、徹底した軍事訓練と、7歳で親元を離れての集団生活が、玉砕も辞さない鉄の結束を生んでいることが絵から読み取れる。
大英博物館所蔵「プラークに乗るムハンマド」は、エルサレムがイスラムの聖地になった伝説を描いた絵だ。そこに描かれるイスラム教の創始者ムハンマドの顔がベールで覆われているのは、偶像崇拝を禁ずるイスラム教の特徴を表していて、21世紀の今もムハンマドのパロディー似顔絵に対して信者が怒る理由にもなっている。
北欧のバイキングといえば角がついた兜をイメージするが、885年パリのセーヌ川に浮かぶシテ島を攻撃するバイキングの様子を描いた「パリをノルマン人から守るウード伯」の絵では、兜はただの丸いボール状だ。角のついた兜をかぶっていた事実はないのだ。
1534年英国国教会が設立された原因でもあるヘンリー8世は、5人の女性と結婚・離婚を繰り返したが、彼の遺体は棺に納まりきれなかったほど巨体だったということも、1903年にウィリアム・パウエル・フリスが描いた絵でも巨体であることからわかる。