「作家の珈琲」コロナ・ブックス編集部著

公開日: 更新日:

 中国の悲恋物語を図案化した「ブルーウィロー」を愛し、自らもコレクションしていたという。

 俳優仲間の池部良に「とにかく、徹夜でコーヒーばっか飲んでる」と著書で暴露された高倉健は、その言葉通り、京都撮影所時代に毎夜、撮影が終わると大部屋俳優だった小林稔侍らを連れて、行きつけの烏丸紫明の喫茶店「花の木」を閉店後に訪ね、夜中の3時ごろまで過ごしていたという。同店の壁には今も、健さんから贈られたジャン・ギャバンのパネルが飾られている。

 その他、落語家の古今亭志ん朝が通った新宿のジャズ喫茶「DIG」、晩年、パリ郊外の農家を改造してアトリエにしていた画家の藤田嗣治のコーヒーを通じた隣人との交流、そして「活字にしたどれひとつとして、喫茶店以外で書いたものはない」と喫茶店を仕事場代わりにして執筆した中上健次など25人が登場する。

 表紙のコーヒーカップを手に珍しく笑顔を見せる松本清張の写真は、担当編集者がカメラマンのカメラを借りていたずらで撮影したものだという。コーヒーは作家たちに、ひとときの安らぎと、時に創作の啓示をもたらした。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に