違う人生を見せてくれる海外文学にハマろう編

公開日: 更新日:

「アリスのままで」リサ・ジェノヴァ著、古屋美登里訳

 ハーバード大学で認知心理学教授を務めるアリスは、講演の途中で言葉に詰まった。次の言葉が出てこない。更年期のせいかと思ったが、医師は、いろいろな症状の中でアリスが一瞬、方向感覚を失って自分がどこにいるか分からなくなったことに注目した。

 検査の結果、医師は若年性アルツハイマー病という診断を下す。アリスは息ができなくなった。夫にも言えず、自殺さえ考えた。この病気は50%の確率で子どもに遺伝する。息子は大丈夫だったが、娘の一人に遺伝していた。71歳で死んだ父は意味の通らないことを大声でわめいていた。アルコール依存症だと思っていたが、もしかしたら……。私はいつか、愛する夫の顔さえ分からなくなる。アリスは自分が自分でなくなっていくことに怯えた。

 アカデミー賞を受賞した映画の原作本。(キノブックス 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出