違う人生を見せてくれる海外文学にハマろう編
「夜が来ると」フィオナ・マクファーレン著、北田絵里子訳
夫を亡くした75歳のルースは海辺の家で暮らしていた。ある朝、4時に目覚めて、家の中にトラがいると確信した。ぺちゃぺちゃと、トラが餌を食べる音がする。隣国に住む息子に電話したが本気にしない。
その日、自治体から派遣されてきたというヘルパーのフリーダが訪れた。彼女は有能で、家の中をテキパキと片づけていく。おかげで生活が快適になったルースは、50年前の恋人のリチャードを招こうと思いつく。彼は舞踏会でルースにキスしたが、実は日本人の婚約者がいたのだ。その妻も既に亡くなった。リチャードとすてきな夜を過ごしたルースは、驚くべき事実を知った。通いだと思っていたフリーダが、無断で息子の部屋に住みついていたのだ。そして、またトラの音が……。
妄想と真実が交錯するサスペンス小説。(早川書房 2200円+税)