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「飛び猫」五十嵐健太著

 猫の肉球や丸まって眠る姿だけを集めたものなど、猫の写真集はバラエティーに富んだものが多いが、本書はとくにユニークな“猫が飛ぶ瞬間”をとらえた写真集。日本各地の離島で暮らす猫たちの、船から船へ、防波堤から防波堤へとジャンプする姿が切り取られている。

 猫が空中を飛んでいる時間は非常に短く動きも速く、しかもいつ飛ぶかは猫本人にしか分からない。ピントを合わせてブレないように撮影するには、とてつもない根気がいるはずだ。しかしその甲斐あって、まるで猫たちが空中でストップしているかのような不思議な写真に仕上がっている。

 冬の青空をバックに防波堤を飛び移っていくキジトラ模様の猫は、キリリとした表情が印象的。後ろで眠そうに見守る茶トラ2匹との対比が面白い。

 夕暮れ時、船から桟橋へ向かう茶シロの猫は、凪いだ水面にジャンプする姿が映り、逆さ富士ならぬ“逆さ猫”のようだ。猫の新たな魅力が発見できること間違いない。(KADOKAWA 1200円+税)

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