「イルカは笑う」田中啓文著
2195年、日本は宇宙リゾート「SCI-F1ランド」建造に50年分以上の国家予算を投入して倒産。「ランド」は「人類圏」の管理下に置かれた。4年後、ツアー客を乗せランドを目指していた宇宙客船で緊急事態が発生する。乗客の陰陽師・アベベは、航宙士が霊に憑依されたことに気づく。アベベが除霊をはじめると、航宙士に憑いていた手塚治虫の神霊が「ガラスの地球を救え」と言って消えた。神霊が人類の危機を伝えにきたようだ。ランドのホテルに到着したアベベは、人類圏の議長に協力を求められる。(「ガラスの地球を救え!」)
その他、最後の地球人と地球の支配者イルカの邂逅を描く表題作など、12の物語を収めた短編集。
(河出書房新社 720円+税)