【受け継がれる戦争体験】直接の体験者の数が年々減少し、戦争体験が空洞化しようとしている。テロの世紀にこそ、戦争体験の継承が必要だ。

公開日: 更新日:

「13歳のホロコースト」エヴァ・スローニム著、那波かおり訳

 チェコに隣接したスロバキアの首都ブラチスラバ。ここで裕福な生地商人の一家に生まれた少女は伯父さんら親戚に囲まれて幸福な子ども時代を送っていた。その暮らしを突然引き裂いたのがナチの台頭。少女と家族、友人知人らは次々に収容所に送られ、やがてガス室へ……。「アンネの日記」の物語はどこにでもあったのだということが本書を読むと痛感される。

 目を引くのはドイツ軍が侵攻したとたん、すぐに地元の社会にもナチのSS(親衛隊)を模した「フリンカ親衛隊」なる極右集団が現れたこと。強い者の尻馬に乗るように出現する右翼は、時代を超えていつの時代にもいるのだと改めて思わされる。(亜紀書房 2300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭