「国立がんセンターでなぜガンは治らない?」前田洋平著

公開日: 更新日:

 多くの人が日本のがん治療の最高峰と考える国立がんセンター。しかし本当の姿は、国からの補助金漬けのずさんな経営体質や、“がん難民製造工場”と揶揄される不適切な診療体制などの問題が山積みで、2010年までには668億円という巨額の赤字を抱えていた。

 このような状況を変えるため、地方の国立大医学部の医師であった嘉山孝正氏が理事長となり、大胆な改革を実行。組織や人事、そして業者との関係も見直し、1年で黒字を達成するという成果を挙げていた。ところが、嘉山氏は理事長の2期目に再任されることはなかった。改革をつぶしたのは、既得権を守ろうとする厚労省と、安倍政権の思惑だった……。

 日本の医療が抱える闇を、白日の下にさらすルポだ。(文藝春秋 740円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  3. 3

    「65歳からは、お金の心配をやめなさい」荻原博子著

  4. 4

    佐々木朗希「通訳なし」で気になる英語力…《山本由伸より話せる説》浮上のまさか

  5. 5

    タモリが「歌う日露戦争」と評した圧巻の紅白歌合戦パフォーマンス

  1. 6

    高額療養費問題が参院選を直撃か…自民が噴出「立憲の凍結案のまざるを得ない」に透ける保身

  2. 7

    大阪万博パビリオン建設は“24時間体制”に…元請けの「3月中には完成させろ!」で危惧される突貫工事の過酷労働

  3. 8

    西武・西口監督が明かす「歴史的貧打線」の原因、チーム再建、意気込み、期待

  4. 9

    松本若菜に「小芝風花の二の舞い」の声も…フジテレビ“2作連続主演”で休めない“稼ぎ頭”のジレンマ

  5. 10

    大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉