「知られざる色覚異常の真実」市川一夫著
色覚異常は先天的なものだと思われがちだが、加齢に伴って起こるものもある。年齢を重ねると無色透明の水晶体が黄色みがかってくる場合があり、人によって度合いは違うが、ビール瓶のような濃い茶色になるケースもあるという。
時間をかけてゆっくりと進行するため気づかれにくいが、加齢による色覚異常は命を脅かす危険もはらむ。高齢者の火災事故にはガスの炎が袖などに燃え移る「着衣着火」が原因のひとつに挙げられるが、色覚異常が一因である場合も多いと本書は指摘する。色覚異常の高齢者には青白い色の炎が見えにくく、実際の大きさより小さく見えてしまうため、自分と炎の距離を適切にとりにくいのだ。
照明の工夫など、見えにくさのリスクを低減する方法も紹介する。(幻冬舎 1200円)