「右だ」「左だ」のレッテル貼りに痛快な反論
そうなのだ。世の中の人が勝手にさまざまなイシューを「右左」に分け、それに従って「サヨク」や「極右」などとレッテル貼りをする状況が昨今のネットでは特に蔓延している。これが無駄な攻撃性を生み、集団で誰かを叩いたりする状況につながっているのだ。実にレッテル貼りはムダである。また、本書は安保法制に反対する学生グループ・SEALDsにも言及。とかく若者が政治に対して声を上げると、途端にわらわらと寄ってくるオッサンどもがいかにアホかを小気味よく切っていくさまも痛快である。結局、このオッサンどもは、自分のことを考えているのだと、数人の具体例を挙げ、喝破する。
〈未熟なリベラルは、すぐ未熟な若者にすり寄る。そうすればうまい汁が吸えて、自分たちが若くなった気になれるのかもしれない(中略)彼らが若者にすり寄ったところで、年寄りは年寄りであって、若返りの妙薬などないのだ!〉
安保法制には反対であっても、一連の運動に若干のモヤモヤ感を覚えていた人、多分このあたりのオッサンのカッコ悪さを感じていた人には腑に落ちる内容である。★★★(選者/中川淳一郎)