「雇用崩壊」森永卓郎氏
「安倍政権が庶民に向かって放つ3本の毒矢。それは(1)派遣法改正(2)ホワイトカラー・エグゼンプションの導入(3)解雇規制緩和という制度変更です。(1)は、ひとたび派遣労働者になると二度と正社員には這い上がれない恐ろしい改正ですが、すでに正社員として働いている方には関係ないと思われがちです。しかし、(2)と(3)に関しては、今まで順風満帆に働いてきたサラリーマンにも、確実に牙をむきます」
(2)は高度プロフェッショナル労働とも呼ばれ、管理職になる前のサラリーマンを、労働時間ではなく成果で評価する制度だ。安倍政権は、労働者が時間に縛られずに働ける仕組みと説明するが、現実は違う。残業代を支払わずに無制限の労働を強要できるため、労働者はボロ雑巾になるまで酷使される。
政府は適用対象を平均年収の3倍にあたる1075万円以上としているが、アメリカではすでに年収238万円までに適用が引き下げられている。日本でも、すぐに一般サラリーマンにまで悪影響が及ぶだろう。
「すでに管理職にあるので逃げ切れたと思う方もいるでしょう。しかし、安倍政権の庶民いじめはそんなに甘くはありません。(3)の解雇規制緩和では、たとえ裁判で不当解雇の判決が出ても、企業が一定の金銭を支払えば解決できるようになります。つまり100万円程度の“手切れ金”で、誰でもいつでも解雇されるリスクにさらされるわけです」