「潮鳴り」葉室麟著
九州豊後・羽根藩士だった櫂蔵は、秀才との誉れも高かったが、3年前、大坂商人との宴席での振る舞いが問題視され、家督を腹違いの弟・新五郎に譲って隠居。以来、漁師小屋に寝起きし、酒とばくちに溺れた生活を送っている。ある日、新田開発方の奉行並に出世した新五郎が切腹。櫂蔵は、新五郎が藩政改革の名目で日田の掛屋から5000両を借り出すことに成功したが、藩が新五郎に責任を負わせ借金を踏み倒したことを知る。そんな中、櫂蔵に家督を再び継いで出仕するよう藩主の下知が下る。日田の掛屋・小倉屋から新五郎がある事業を密かに進めようとしていたと聞いた櫂蔵は、その事業を引き継ぐべく出仕することに。
男の再起を描く「羽根藩」シリーズ第2弾。(祥伝社 700円+税)