「多摩川飲み下り」大竹聡著
多摩川沿いを飲み歩きながら上流から河口まで下る散歩エッセー。
はるか山梨県の山中にある多摩川の源流までさかのぼる元気はないので、出発は青梅線の終点・奥多摩駅。飲み屋街で見つけた「しんちゃん」で、常連客との会話を楽しみながら、ウオツカベースのソーダ割り「樽ハイ」を重ね、気が付くと全然、「下って」いなかった。
日を改め、奥多摩駅を歩き始めると白丸駅近くで地震に遭遇。青梅街道沿いの「鳩ノ巣 釜めし」で、電車の復旧を待ちながら一杯。結局、電車は動かず、転がり込んだ民宿のテレビで初めて大災害が起きたことを知る。以降、延べ27日をかけ、居酒屋や河原で喉を潤しながら、手軽でいて非日常を味わえる旅を堪能。(筑摩書房 720円+税)