「がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事」神尾哲男著
フランス料理のシェフとして活躍していた著者ががんの告知を受けたのは、2003年のこと。前立腺がんのステージⅣで、脊髄3カ所と左鎖骨、左鼠蹊部のリンパ節に転移しているという末期状態だった。
医師からは“余命ゼロ”との宣告を受け、抗がん剤治療を拒否。一方で、料理人という自分の原点に立ち返り、独自の食事療法を試みた。結果、告知から14年が経過した現在でも、料理人として精力的な活動を続けている。本書では、著者のがんを抑えてきた食事のすべてを伝授している。
肉や魚は調理前に塩で揉んで不純物を出す、1日1.5リットル程度のクエン酸水を飲むなどさまざまな工夫があるが、がんを遠ざける基本としてとくに大切なのが本物の調味料を選ぶことだという。化学的な方法で人工的に作られた塩化ナトリウム95%以上の塩、大豆の搾りかすである脱脂加工大豆を使った醤油、上白糖やグラニュー糖など精製された白砂糖は、体にとって毒となり、がんと闘う力を奪っていくという。
植物性乳酸菌を取るためのぬか床の作り方や、化学調味料を避けるための出汁レシピなども紹介。食の基本に立ち返ることが、体にどれほどの効果をもたらすかを教えられる。(幻冬舎 1100円+税)