「東芝解体 電機メーカーが消える日」大西康之氏
かつて日本の家電は“世界一”ともてはやされ、多くの国々で愛用されていたものだった。ところが今、あの頃の栄光は幻と消え、東芝解体の衝撃をはじめ日本の電機メーカーの多くが絶滅の危機に瀕している。いったいなぜ、ここまで無残に凋落してしまったのか。日本経済新聞の記者として長年にわたり電機業界を取材してきた著者は、本書でその要因を徹底分析している。
「今現在、東芝の半導体売却は難航を極め、2期連続の債務超過による上場廃止すら現実味を帯びてきました。2015年の粉飾決算発覚からわずか2年。白物家電事業も医療事業も売却し、なりふり構わぬリストラを行ってもこのありさまです。しかしこの惨状は東芝だけの話ではない。日本の電機メーカーはもう何年も前から国際競争に負け続け、多くの企業にはるか先を行かれている状況なんです」
14年度、東芝の白物家電の売上高は2254億円。これに対して同年、中国の家電メーカーである美的集団は、白物家電だけで2兆7600億円を売り上げていた。2016年にシャープが台湾・鴻海の傘下に入ると、日本では「われわれの最先端技術が欲しいだけだろう」などと鴻海を格下に見る声が聞かれた。