「東芝解体 電機メーカーが消える日」大西康之氏
東芝を筆頭に、NEC、日立、富士通など、“ファミリー”のぬるま湯に漬かってきた各社の未来は暗澹たるものだ。しかし、すべてのメーカーに未来がないわけではない。
例えば、“商品を売って終わり”のメーカーから脱却し、有料会員サービスなど各種の顧客サービスを通じて継続的に収益を上げる「リカーリングビジネス」を主軸に据えようとしているソニーには光明が見える。ちなみにソニーは、ファミリーには属してこなかった独立系だ。
「勝てる分野にヒト・モノ・カネを集中し、もっともしぶとく利益を上げ続けている三菱電機にも期待ができます。実は三菱電機は電力ファミリーではあるものの、三菱グループでは分家扱いで、ファミリーでも末席というシビアな状況で生きてきました。そのため、“勝てる市場で生きていく”という、他社にはないしたたかさが育まれています」
日本の電機メーカー敗北の歴史を、詳細にひもといていく本書。若く勢いのある新興企業がひしめく国際市場で、日本企業はどう戦っていくべきかのヒントも与えてくれる。
(講談社 800円+税)