「超能力微生物」小泉武夫著
肥沃な水田の土1グラム中には最大43億個もの細菌が生息しているという。地球の細菌、カビ、酵母などの微生物の数は天文学的数値となり、その種類も正確には分からないそうだ。中には、地上40キロの成層圏や、水深6500メートルの深海、アルミニウムも溶けるような濃硫酸にも耐える微生物がいる。こうした過酷な環境に耐えられる菌体構造と生理作用を身につけてきた微生物を「超能力微生物」と名付け、その正体に迫るサイエンスエッセー。
中国の肉の発酵食品の中から見つかった動物性の脂を植物性の油に変えてしまう微生物など、超能力微生物の知られざる能力を紹介しながら、エネルギーや環境、食糧問題など、人類が直面する課題を解決に導く彼らの可能性にも言及。(文藝春秋 800円+税)