少子化の直撃で100校の大学がつぶれる!

公開日: 更新日:

 今後15年の間に、日本では100校の大学が消滅する――。そんな衝撃の予測を展開するのが、木村誠著「大学大倒産時代」(朝日新聞出版 760円+税)である。著者は「大学進学ジャーナル」の元編集長で、長年にわたり日本の大学の動向を観察してきた人物。本書では、少子化が全国の大学を直撃している実態を徹底分析している。

 大学進学を控える18歳人口は今後、減少を続け、現在(2017年)の120万人から23年には110万人に。そして31年には100万人の大台を割って99万人にまで減少すると予想されている。数が減少しても進学率の伸びでカバーできそうだが、今の日本ではこれも望めそうにない。4年生大学進学率は1990年に25%、2009年に50%と大きく伸びたが、これ以降は50~52%と横ばい状態。その背景には、貧富格差の拡大がある。専門学校や専修学校への進学率もすでに28%強あることから、4年制大学への進学率急増は到底、期待できないのだ。

 さらに、オリンピックの開催も大学の存続に影響を与える。東京のイメージが上がる反動で、学生にとって地方の魅力が薄れることは避けられない。今後、まずは地方の中堅私立大学から破綻危機に陥り、都市の中堅私大グループ下位校へと連鎖していくと著者は予測している。

 倒産の危機にある大学はどう見極めればよいのか。注目すべきは、全学部全学年の収容定員に対する学生数の比率である「定員充足率」だ。これが100%を切ると実質的な定員割れとなり、学費などの収入が減少して大学経営に大きな影響を与える。

 本書には、2017年5月時点で定員充足率70%未満の49校を掲載。中には30%台、40%台という悲惨な数値の大学もある。ホームページなどで数値を公開していないケースもあるため、実際にはこれ以上の大学が定員割れを起こしていると考えられる。他にも、中退率が2%を上回っている、専任教員が少ないなどの大学も要注意であると著者は言う。

 一方で、地域活性に貢献する人材の育成で活路を見いだす地方大学も増えていると本書。大学は偏差値だけで選ぶ時代ではなくなっている。受験生及び保護者は必読だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カンニング竹山がフジテレビ関与の疑惑を否定も…落語家・立川雲水が「後輩が女を20人集めて…」と暴露

  2. 2

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  3. 3

    東野幸治とハライチが春の番組改編で大ピンチ…松本人志、中居正広のスキャンダルでトバッチリ

  4. 4

    元兵庫県議の死をめぐり虚偽情報拡散…立花孝志氏は名誉毀損で立件なるか?若狭勝弁護士が見解

  5. 5

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  1. 6

    綱とり出直しの琴桜に必要な「脱・頭でっかち」…初場所の足を引っ張ったのは考えすぎる悪い癖

  2. 7

    TBS「報道特集」が検証…立花孝志氏が流したデマと恫喝の実態

  3. 8

    文春訂正で中居正広ファン分裂! 「本人は無罪」vs「悪質性が強まった」で大激論

  4. 9

    中居正広トラブルへの関与を改めて否定も…フジテレビ“当該社員”に「緊急異動」発令で社員ザワめく

  5. 10

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋