「ノーマンズランド」誉田哲也著

公開日: 更新日:

 主人公は、親しくなった人が次々と亡くなることから「捜査一課の死神」という異名をつけられている姫川玲子。7カ月前の「祖師谷二丁目母子三人強盗殺人事件」の捜査中に殉職した前統括主任・林のことがいまだ頭から離れず、立ち直れないでいた。そんな彼女のもとに、葛飾署管内で起こった女子大生殺しの捜査が舞い込んだ。しかし、容疑者として浮かび上がってきた男は、別の殺人事件の容疑者として本所署に留置中。何やらこの事件には、一筋縄ではいかない大きな事情が隠されているようだが……。

 本書は、テレビドラマ化されて累計で400万部を突破した人気の姫川玲子シリーズの最新作。今回は、姫川が追う事件と並行して、ある女子高生の失踪事件が女子高生と交際していた男性の目を通して語られる。読み進めるにつれて、ふたつの事件の接点が明らかになり、昨今の国際事情ぬきには語れない思いがけない結末へと収束していく。人の死に何度も直面しつつ何とかそのトラウマを克服しようとする主人公と、いなくなった女子高生を命をかけて捜し続ける男性の心模様がなんとも切ない。

(光文社 1600円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭