「ウソだらけの健康常識」奥村康著
長生きするために粗食を心がけ、たばこもきっぱりとやめた。そんな人には残念なお知らせだが、これらは健康長寿に関係ないどころか大間違いであると本書は警告する。
厚生労働省による調査では、40歳時点でBMI18.5以上25未満の普通体重の場合、男性の余命は39.4年。つまり寿命は79.4歳であったという。ところが、太り気味でBMI25以上30未満の場合、余命は41.6年あり、普通体重の人より2年長生きという結果が出ている。
粗食にしていると長生きするという説もあるが、その根拠のほとんどは動物実験によるもの。餌があればあるだけ食べてしまう動物には食事制限が効果を発揮するが、人間は目の前の食べ物を食べつくすようなことはしない。粗食にしてダイエットしたからといって、人間が長生きするとは限らないのだという。
また、禁煙の目的は肺がん予防だろうが、この35年で日本人の喫煙率はどんどん低下しているのに、肺がんの死亡者数は3倍に増加している。
昭和50年代ごろまではニコチンやタールが強いたばこを吸う人が多かったのに、肺がんで亡くなる人が今より少なかったことを考えても、肺がんと喫煙の因果関係には疑問が残る。一方、免疫力を低下させるストレスは、ニコチンによって軽減される効果もある。
本書では、順天堂大学医学部名誉教授の著者が、常識と考えられてきた健康の秘訣を一刀両断。本当に長生きしたいのなら、正しい情報を収集しなければならない。
(ワック 920円+税)