「社長争奪 世襲・派閥・策謀」有森隆著
大塚家具がピンチだ。創業者の大塚勝久氏と、娘の久美子社長が経営方針をめぐり対立してから約3年が過ぎた。ブランドイメージは悪化し、今期(18年12月期)は3年連続の最終赤字に転落する見込みだ。
ジャーナリストの有森隆著「社長争奪――世襲・派閥・策謀」(さくら舎)は、大塚家具をはじめ「内紛」「お家騒動」「権力闘争」に直面した8社を取り上げ、経営陣がどう対処したかを分析している。読み応えのある企業モノとしてサラリーマンの間で話題だ。
第1章は大塚家具。久美子社長の経歴から、家族間の骨肉の争い、父親・勝久氏の解任などを掘り下げている。有森氏は、「大塚家具は2018年5月27日、創業の地、埼玉県春日部市の店舗を閉鎖した。はたして大塚家具は存続できるのだろうか」と書いたが、まさに今、大塚家具は身売り説が浮上するほど“存続の危機”に立たされている。
創業家がらみでは、パナソニックの松下家、ダイエーの中内家を取り上げている。そのほか、NECの会長VS社長の泥沼、みずほFGの派閥抗争、ガバナンス問題で迷走したクックパッドなど権力抗争の内幕を描いた。
盆休みに熟読したい一冊だ。