「秋田犬のおやこ」酒巻洋子写真・文
今春、オリンピックに出場したロシアのザギトワ選手が金メダルのご褒美におねだりしたことで一躍、世界中の注目を集めた「秋田犬」。ザギトワ選手に抱かれる「マサル」の姿を見て、秋田犬の魅力を再認識した日本人も多いのではなかろうか。
本書は、その秋田犬のユキとカイの間に生まれた4匹の子犬の成長を記録した写真集だ。
雄3頭、雌1頭のきょうだいが誕生したのは今年の1月11日。出産直後、自分の中から出てきた子供たちを「何だろう」と困惑したような顔で確かめるように見つめていたユキだが、初めての授乳が始まると母性が目覚めたように顔つきがやさしくなる。その表情の変化に、こちらまでほおが緩んでくる。
生まれたての子犬は、両親に比べ毛色がやや濃く、まだ大地を踏みしめたことがない、まっさらな肉球はピンク色に輝いている。
おっぱいを飲んだ子犬たちは、1日で倍に膨れたように見えたという。ひと昔前の人間の父親のように、出産時には何もやることがなく、ストーブの近くで昼寝をしていたパパ犬のカイが、子供たちの様子を見にくるが、ユキにうなられ、近づけない。