「矛盾社会序説」御田寺圭著

公開日: 更新日:

 2年前の相模原障害者施設殺傷事件の後、犯人の「人との関わりも希薄で、社会からは隔てられた施設に入所し、それで人としての価値があるといえるのか」という「価値の定義」が、インターネットで一定の支持、共感を集めた。

 支持者たちは生活の不満や他人へのひがみ、恨みをネットでつづる「ネット底辺層」の人々だった。

 彼らは、犯人の行為を「英雄的行為」のように称賛したが、それは社会が「できの悪い健常者」には「自己責任」ですませてきたことを、犯人が障害者に対して再現したことによって、社会の「二枚舌」が浮かび上がったからだ。

 他に「キモい人叩き」や「ひきこもり」など、建前社会の排他性をえぐり出す社会論。

(イースト・プレス 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動