「矛盾社会序説」御田寺圭著
2年前の相模原障害者施設殺傷事件の後、犯人の「人との関わりも希薄で、社会からは隔てられた施設に入所し、それで人としての価値があるといえるのか」という「価値の定義」が、インターネットで一定の支持、共感を集めた。
支持者たちは生活の不満や他人へのひがみ、恨みをネットでつづる「ネット底辺層」の人々だった。
彼らは、犯人の行為を「英雄的行為」のように称賛したが、それは社会が「できの悪い健常者」には「自己責任」ですませてきたことを、犯人が障害者に対して再現したことによって、社会の「二枚舌」が浮かび上がったからだ。
他に「キモい人叩き」や「ひきこもり」など、建前社会の排他性をえぐり出す社会論。
(イースト・プレス 1700円+税)