不透明な有害ガスの行方など東京外環道建設の闇
知らないうちに自宅の地下に巨大なトンネルが掘られ、さまざまな被害が懸念されるも国からの正式な通知は一切なし。そんなでたらめな計画の真実を明らかにしているのが、丸山重威著、東京外環道訴訟を支える会編「住宅の真下に巨大トンネルはいらない!」(あけび書房 1600円+税)だ。
問題となっているのは、東名・中央・関越などの高速道路を環状に連絡する「東京外環道」の建設。1960年代に計画されたものだが、杉並区や三鷹市など7区市を貫く区間では、数千の住宅の立ち退きや環境破壊に地元の反対が起こり、40年にわたり凍結されていた。
ところが、大型公共事業を景気テコ入れの材料にしたい自民党政権が法制化を進めて「大深度法」を制定。2012年から外環道建設の“地下化”を強行している。この法は、①地下40メートル以深、②基準杭の支持地盤上面から10メートル以深、のいずれか深い方の地下を大深度地下として使用許可の対象とするもの。その土地の住民に何の補償も承諾もなく、地下トンネルを勝手に掘ることを認めるというのだから開いた口がふさがらない。
しかも、大深度地下であるから地上に影響はないのかと思いきや、そうではない。地下を掘削する際には土を掘りやすくする薬剤が用いられるが、掘削土の処理については不透明なまま。大深度の土壌汚染調査についても明確な発表がない。さらに、陥没や地盤沈下の危険性、有害ガスの行方、大雨時に水を吸収する帯水層を道路にすることによる河川氾濫リスクなど、数々の疑問に答えを出さないまま掘削が進められているのだ。
こんな無法がまかり通っていいのか。全国民が真実を知るべきだ。