「ミッションスクールになぜ美人が多いのか」井上章一他著
女子アナ、CA、モデル。彼女たちの共通点は何か。それは、「カワイイ」「金持ち」、そして「キリスト教系の大学出身」の“3K”であることだ。
井上章一他著「ミッションスクールになぜ美人が多いのか」(朝日新聞出版 810円+税)では、何とも下世話なタイトルとは裏腹に、日本人女子の美しさとキリスト教との関係を大真面目に分析。風俗史や日本近世史の学者たちが、その真実を論考している。
北海道から沖縄まで128のテレビ局のアナウンサー995人とフリーアナウンサー273人の出身校を調査すると、10位までの大学のうち、青学、上智、フェリスなどキリスト教系大学が6校もランクイン。大学ランキング2019年度版のCA出身校ランキングでは、10位までのうち7校がキリスト教系大学。
「CanCam」「JJ」「ViVi」「Ray」という4大女性ファッション誌の女子大生モデルでもその存在感は圧倒的で、日本の大学の1割弱しかないキリスト教系大学が、多くの美人を輩出していることがよく分かる。
多くの裕福な親たちが娘の教育に期待するものは、世俗の汚濁から遠ざけ“お嬢様”にふさわしい訓育を受けさせること。世俗に対し超然としたたたずまいを示す修道女こそ優秀な守り手であり規範であると捉え、学校を選ぶのもうなずける。さらに、女性特有の徳としての「貞淑」「貞操」という要素が欠ければ、美は確実に失われると本書。人にもよる、という気もするが、10代を「慈愛と奉仕を理念とする」環境で学んだ彼女たちに美人が多いのも、紛れもない事実だ。
美人をキーワードに、日本に浸透していったキリスト教文化もひもとく本書。新しい文化論として楽しめそうだ。