「絶望読書」頭木弘樹著
20歳のときに難病を発症し、13年間の絶望生活を送った著者が、絶望期にこそ読書が必要なことを説いた読書の勧め。
ちまたには絶望からどのように立ち直るか、または絶望した人を励ますような本はたくさんあるが、絶望している期間をどう過ごせばよいのかを教えてくれる本はなかったという。
入院中にお見舞いに渡された本の中で、心にしみたのは絶望的な気持ちに寄り添ってくれるような本、つまり絶望的な内容の本だったという。その本をくれたのもやはり長期入院の経験がある人だった。絶望への共感が、実は絶望を癒やしてくれるのだという。
太宰治の短編小説「待つ」など、絶望したときに寄り添ってくれる本や映画、ドラマを紹介しながら、絶望を生き延びる術を語る。
(河出書房新社 880円+税)