「ピュドロさん、美食批評家はいったい何の役に立つんですか?」ジル・ピュドロフスキ著 関修訳
最近は日本のレストランもミシュランによる格付けがなされている。しかし、その格付けの基準となるとよくわからない。また料理番組の中で、リポーターが口に入れた途端に「おいし~~~い」と大声で叫んでいるのを見て「本当?」と疑問に思っている人も多いだろう。そんな人にうってつけなのが本書だ。
著者は、パリのレストラン格付けガイド「ピュドロ・パリ」の発行者で、フランスを代表する美食批評家でもあり、その歯に衣着せぬ辛口の批評は多くの支持者を得ている。本書で取り上げられているのは単なる料理ではなく、あくまでも美食(ガストロノミー)だ。
その美食の美食たるゆえんを歴史的にたどり、美食批評はどうあるべきか、またレストランの格付け=序列化にはどのような意味があるのかを、まだ有名になる前のカタルーニャの名店、エル・ブジを最初に紹介した記事などを交えながら論じていく。著者いわく、ミシュランが提供しているのは、われわれが料理の良し悪しを判断し、数量化するためのメートル原器にほかならない、と。さらなる味を極めようと思えば、やはり著者のような良き美食批評家の導きが必要なのだ。
(新泉社 2500円+税)