経済同様にアクティブになる中国のエロ文化
“エロ”は政治や経済と同じく、社会の行く末を読み解く重要な鍵となる。安田峰俊著「性と欲望の中国」(文藝春秋 850円+税)では、14億人という人口を誇る中国の最新エロ文化をひもといている。
長らく続いた一人っ子政策などにより、中国は性的に極めて潔癖な国家だった。しかしGDPが世界第2位となり、庶民層の生活水準が向上した2010年代以降、エロの分野も劇的にアクティブになり、アダルト産業が急成長を遂げている。
例えば、ラブドールの世界。かつてダッチワイフと呼ばれたこの商品は、日本製が世界ダントツの品質を誇っており、中国のマニアからも密かに好まれていた。日本への留学生が、中国に転売して小遣い稼ぎをしていたこともあるという。
しかし現在、当時の学生たちが中国国内でラブドール企業を創業し、上場を果たす企業も登場している。中国は土地が広く工場の敷地も確保しやすいため、日本で学んだ品質を維持しつつ、大勢の人間を雇っての大量生産も可能。また、有望株のアダルト産業をうさんくさく見るような社会的風潮も薄く、投資を集めて事業拡大もしやすいのだという。
結果、業界トップのオリエント工業でも従業員は数十人程度の日本に対し、起業から5年ほどで中国有数のラブドール企業となったEXDOLL社の従業員は130人超。月の生産数は300~800体にのぼり、日本を含めた世界各国に輸出されている。さらに、AIを実装したドールの開発も進んでおり、軽いピロートークも期待できるのだから驚きだ。
SNS不倫や日本買春ツアーなど、話題のセックス事情も紹介。現代中国社会の真実を読み解くにはうってつけだ。