「ヤバイ鳥」ワクサカソウヘイ著
普通のバードウオッチャーだった著者だが、やがて鳥の瞳の愛くるしさや羽色の美しさよりも、鳥の脚ばかりが気になるようになってしまったという。鳥の脚ばかりを見ているうちに「ある種のゾクゾクとした快感」が走ることを発見。それが鳥のヤバさに目覚めた瞬間だった。新たな視点で鳥を眺めてみると、奇異な顔つきの鳥や、エキセントリックな羽の色をした鳥、そして異様な習性の鳥などたくさんの「ヤバイ」がそこにあることに気づき、ゾクゾクが止まらなくなったという。
ある日、絶滅したと思っていた恐竜が、実は絶滅などしておらず、鳥として私たちのまわりに生息していることを知り、納得。ヤバイ鳥にゾクゾクするのは、そこに恐竜の「残り香」を感じているからだ。そんな「ヤバイ鳥」を楽しむスーパーハードバードウオッチングの世界に読者を導く面白図鑑。
世界には1万種近くもの鳥がいるそうだが、中には「とにかくヤバイ」としか表現できない鳥がいる。著者が「ヤバイ鳥の王者」と恐れるのは、ギネスブックでも世界一危険な鳥にも認定されている「ヒクイドリ」。つい最近も人の命を奪ったというこの鳥、強靱な脚とナイフのような爪で敵に強烈なキックをお見舞いする。その存在を知らずに彼らの暮らす熱帯雨林で遭遇してしまったら、きっと「恐竜に出合ってしまった」と思うだろうと著者はいう。
他にも、大きな目が薬物であっち側の世界に行ってしまったような「新宿・歌舞伎町感」のある「タチヨタカ」など。
「とにかくヤバイ」鳥だけでかなり恐ろしいが、続いて「ビジュアルがヤバイ」「伝説がヤバイ」「求愛がヤバイ」「奇行がヤバイ」鳥たち40余種を紹介。あなたもゾクゾクが止まらなくなるかも。
(枻出版社 1300円+税)