穴あき、フリル、網目状…処女膜の形状は千差万別
処女膜は貞操の証し。これを“常識”と信じて疑わない人々に読んで欲しいのが、エレン・ストッケン・ダール、ニナ・ブロックマン著、高橋幸子監修、池田真紀子訳「からだと性の教科書」(NHK出版 2200円+税)である。
性の先進国ノルウェーの女性医師2人による、女性の体の最新情報が満載の本書は、36カ国で刊行決定の世界的ベストセラーだ。
思春期の子供が読むべき本かと思いきや、大人でも知らないことが多い事実に驚かされる。例えば、性交で出血すれば未経験の証しで、出血がなければ経験済みという処女膜神話。これが21世紀の今も生き延びているのは、処女膜が“膜”であるという認識に支えられているためだろう。
しかし、処女膜は膣の内壁に沿って輪っかになっているヒダであり、キッチン用ラップのようにピンと張った膜ではない。さらに、決まった形状ではなく、大きな穴が真ん中にある、膣壁を飾るフリルや、網目のようになっているなどさまざま。処女膜の一部が細い筋状になって膣口を横切る“φ”に近い形状もあるという。
このため、初めてのセックスですべての女性が出血するわけではなく、その割合は50%前後といわれているのだ。
「イライラして、さては生理中か?」。相手より優位に立つためこんな言葉を使った経験のある男性はいないだろうか。月経周期が原因で情緒が乱れがちになるPMS(月経前症候群)は、実は生理2、3日前から発生し、生理が始まると和らぐもの。人を侮辱したいなら、せめて正しい知識を得てからにするべきと著者は言う。
女性のオーガズムの仕組みから性器の疾患まで網羅する本書。年齢、性別を問わず、ためになるはずだ。