「隣人X」パリュスあや子著
新卒派遣社員として半年契約で働いている土留紗央は、土曜日の朝、母に揺り起こされた。臨時ニュースで〈NASAが地球外生命体との接触に成功。アメリカ合衆国は「惑星難民X」として受け入れる方針を発表〉というテロップが流れている。記者会見に宇宙飛行士と、彼に容姿も声も瓜二つの、自称「惑星生物X」が現れた。「惑星生物X」は把握能力、擬態能力にたけているため、対象の外見、考え方、言語まで、スキャンするように取り込むことができるという。やがて「惑星難民受け入れ法案」が可決される。
生きづらい日々を送る3人の女性と、命がけで地球にたどり着いた惑星難民の人生が交差する、現代社会を風刺したSF文芸小説。
(講談社 1400円+税)