「草笛物語」葉室麟著
羽根藩の江戸中屋敷で生まれ育った13歳の颯太は、2年前から小姓として藩主の世継ぎで同い年の鍋千代に仕える。気弱で周囲からは「泣き虫颯太」と呼ばれているが、鍋千代は正直者の颯太を重用する。
しかし、はやり病で相次いで両親を亡くした颯太は、伯父で藩校教授の岳堂に預けられることになり、国元に帰国。颯太は、藩内で世継ぎを巡って、「鵙(もず)」と呼ばれる中老の戸田順右衛門と、藩主の座を狙う御一門衆の三浦左近の派閥争いが起きていることを耳にする。
世子の小姓だった颯太が、争いに巻き込まれることを危惧した岳堂は、颯太を友人の薬草園の番人・庄三郎に託す。1年後、藩主が急逝し、家督を継いだ鍋千代が国元に戻ってきた。
羽根藩を舞台にした人気時代シリーズ第5弾。
(祥伝社 700円+税)