「文豪と俳句」岸本尚毅著
文豪と呼ばれる人々は、小説に負けず劣らず、俳句でも独自の作品世界をつくり上げている。そんな彼らの味のある俳句を読み解く文学テキスト。子どもの頃から俳書に親しんできたという明治の文豪・幸田露伴。晩年には芭蕉の俳句を解説する「評釈芭蕉七部集」も残している。若き日、逓信省職員として働いていた露伴は、赴任先の北海道から無断で帰京して免官に。その途上で「野垂れ死にをする時があったならば、きっとこんな光景だろう」と思って作った20歳の時の「里遠しいざ露と寝ん草枕」など。俳句を紹介しながらその生涯をたどる。ちなみに露伴の号はこの「露と寝ん」という句に由来するという。
泉鏡花や宮沢賢治など近現代の作家13人の俳人としての顔を紹介する。
(集英社 1034円)