「ブルースRed」桜木紫乃著
釧路の裏社会を仕切っている影山莉菜は、亡父・博人が愛人に生ませた武博を、父のような大人に育てようとしていた。あと10年。武博が自分の夢を捨てて、自分の役目を悟ってくれれば、莉菜はこの街を出ていくことができる。そうすればもう外出のとき、用心棒に守ってもらう必要もないし、誰かを始末する相談に乗らなくてもいいのだ。
博人の妻・まち子は、莉菜と博人に血のつながりはないのに同じ手相を持っていることから、莉菜が必ず、何者かになることを信じていた。
ある日、まち子の元に田所圭という人物から、自分の兄かもしれない博人の墓参りに行きたいという手紙が届く。
裏社会に生きた女の「人生の後始末」を描く。
(文藝春秋 1650円)