第一生命経済研究所主席エコノミスト熊野英生氏「投資は負けないことが大切」
「敗者のゲーム」チャールズ・エリス著
(日本経済新聞出版社)
20年ほど前から、事あるごとに目を通しているのが、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」です。
著者は30年にわたって投資顧問会社や投資銀行などで調査・コンサルティングに腕をふるった人物。この本の帯には「全米100万部の超ロングセラー!」とあります。
一言で表現すると、「投資は負けないようにがんばろう」という内容です。一度に大きな金額を投じ大儲けしようなどと考えてはいけない。失敗しないように、ちょっとずつ勝ち、積み上げていく。そんな取り組み方が大事だと書かれています。
この考え方は投資に限らず役立つと思っています。たとえばテニス。プロプレーヤーではないのだから、大坂なおみ選手のように豪快なサービスエースを決めようとしたら自滅しかねない。天才的なショットなど打てるわけないのだから、一生懸命負けないように努力する。そういうことなのでしょう。
投資で「ちょっとずつ勝つ」ことは、決してトップではないけれど、先頭集団にいられる秘訣だと思っています。