「中国『コロナ封じ』の虚実」高口康太著
中国はいかにして新型コロナウイルスを封じ込めたのか、そしてその体制をどのように構築したのかを検証したリポート。
コロナ封じ込めは、一党独裁国家で権威主義体制ゆえの強制力のたまものとの指摘がある。しかし、庶民の生活に介入し、規律を守らせるという点で中国は、「強い」国家とは言い難いと著者は言う。
では、人民の行動をいかにコントロールしたのか。改革開放以後に寸断されていたはずの「単位(ダンウェイ)」と呼ばれる基層管理組織による統治の再編や、そのための大動員によってなされた感染症対策の実際を追う。一方で、その対策にデジタル技術がどのように活用されたのかを読み解くなど、中国の現代史にも触れながら、コロナ封じ込めの奇跡的な成功の秘密に迫る。
(中央公論新社 924円)