「この国の戦争」奥泉光、加藤陽子著
300万人を超える自国民に加え、侵略した地域や交戦国を含めると2000万人もの犠牲者を出したアジア・太平洋戦争の起源を語り合った対談集。
戦死者の半分以上が餓死や病死であるような作戦が立案され実行されたり、沖縄まで到達できないとわかっていながら戦艦大和をあえて出撃させ3000人もの犠牲者を出すなど、度を越えた非合理な行為に人々を向かわせた力とはなにか。国政上の決定や判断がなされた政治過程はもちろん、一般の人々が歴史の中で果たした役割までを注視しながら当時の文学作品から軍人勅諭や教育勅語などを読み込み、中国との戦争がなぜ起き、米英との戦争になぜ突入し、そして敗戦が明らかになったときになぜ戦争をやめることができなかったのかを徹底考察。
(河出書房新社 968円)