「モスクワ音楽都市物語」S・K・ラシチェンコ著 広瀬信雄訳
19世紀半ばのモスクワは、音楽については「まったくの不毛の地」だった。ロシアでは音楽は、法で職業として認められておらず、存在していないのも同然だった。その一方で、個人的に自分の館で、音楽家を呼んでコンサートを開くという習慣もあった。
1861年、モスクワにユルゲンソンが音楽出版所と音楽商会をオープンさせ、ここがモスクワの音楽生活センターとなった。62年、ルビンシュタインが「誰でも行ける交響コンサート」を開催すると、さまざまな階層の何千人もの聴衆がホールを満杯にした。やがてクララ・シューマンやワーグナーが訪れるようになる。
モスクワを音楽都市に変えた人たちを紹介。
(明石書店 2750円)