「まちで出会ったかわいいあのこ」うおのめとるこ、藤本健太郎、松村大輔著
アニメ文化の発信源である日本では、街中から家の中、老若男女問わず人々の持ち物まで、キャラクターであふれている。
本書は、そうしたあまたあるキャラクターの中でも、街の看板などに無名の職人によってそっと描きこまれたほぼ「1点もの」の「かわいい」キャラクターを採取して紹介するグラフィック図鑑。
冒頭に登場するのはかわいい「まほうつかい」。手作りケーキのお店の看板に描かれたまほうつかいは、魔法のほうき代わりに「魔法の泡立て器」にまたがり、頭にはとんがり帽子の代わりに三角巾をつけている。
ほかにも、何屋さんかは分からないが、自動販売機と自動販売機の間からのぞいた窓に描かれたたばこにもはんこにも見える白い棒にまたがる女の子や、なぜか打ち出の小づちを抱えた女の子など、街中で見つけたさまざまなかわいい「まほうつかい」を紹介する。
また、つば広の大きな帽子をかぶった靴屋さんの看板娘や、店名入りのキャップをかぶってカメラを提げてポーズをとる写真屋さんのキャラクターなどの「帽子の女の子」をはじめ、大きなフランスパンを抱えた「パン屋ガール」、和装にたすき掛けの「お茶娘」など、「かわいいあのこ」たちが目白押し。
かわいいだけではない。美容院の看板に描かれたちょっと「おしゃれな彼女」や、薬局のブリキ看板に添えられたバスタオル1枚だったりシュミーズ姿の「お色気ガール」、さらには「赤ちゃん」や「おじさん」、各動物など、さまざまなキャラクターをジャンル別に分類して紹介。
どれも昭和のテイストが漂う、懐かしくもぬくもりのあるキャラクターばかり。あなたの街でも、きっとあちらこちらにいる「かわいいあのこ」たちが、気がついてくれるのを待っているはずだ。
(大福書林 2200円)