第一話 倫理的にあり得ない(14)視界に映るビルの合間の狭い夜空
やがて出崎は、男の呼び名を思い出した。
「そうだ、ユウジだ」
一度だけ、ふたりが出崎の近くに座ったことがある。飲み物を買うために席を立った男を、女はユウジと呼び止めた。昔、流行った刑事ドラマの登場人物と同じで、懐かしく思ったことを覚えている。
「男に関して知…
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