「日本解体論」白井聡、望月衣塑子著
気鋭の政治学者と新聞記者が、日本社会を加速度的な崩壊へと導く政治の責任とそれを許したメディアについて論じた対談。
白井氏は、日本の近現代史は国体の歴史だという。戦前の国体は明治時代に形づくられた近代天皇制国家というシステム。それが敗戦によって破滅し、戦後はアメリカを頂点とする国体となったという。
国体に乗っかった形で日本は発展したが、それがうまくいかなくなっても、軌道修正ができず、破滅を迎えようとしていると指摘。「平和と繁栄」としての戦後は幻影でしかなく、民主主義や平和主義でさえ建前であったことを明らかにした原発事故、そしてポスト3.11に登場した安倍政権を支え続けた国民自身の責任など。日本の政治状況を直視し、この状況を生み出した背景に迫る。
(朝日新聞出版 1001円)