「わたしのペンは鳥の翼」 アフガニスタンの女性作家たち著 古屋美登里訳
そのほか、苦しい暮らしの中でも美しい赤いブーツに少女が自らの矜持を託す「赤いブーツ」、周囲の皮肉や嘲りをものともせず、洪水を避けるために黙々と水路を掘り続ける老婆を描いた「アジャ」など印象深い作品もある。
本書には18人の「作家紹介欄」が付されていない。短編が書かれた時期のアフガニスタンの状況下においては経歴を記すことが彼女らに危険を及ぼすからだ。それでも彼女たち全員、今でも書き続けているという。
いつか、自分たちの母語で周囲の人たちに読まれる日が来ることを祈りつつ。
<狸>
(小学館 2310円)