「古事記ワールド案内図」池澤夏樹著
「古事記ワールド案内図」池澤夏樹著
古事記の現代語訳と小説を手掛けた著者が、蓄えた知見をもとにその作品世界の歩き方を教えてくれる文学ガイド。
古事記はその冒頭から、高天の原に生まれた3人の神の名にはじまり、神の名が次々と現れ、ようやくイザナキとイザナミの男女の神が登場して、島をたくさん生む。その後も、生まれる神や島の名が延々と羅列される。
このたびたび登場する名前の一覧と系図が古事記をとても読みにくいものにしている。
さらに、歌の引用も多く、散文と詩と系図という異なる3種類の文からなっているのでストーリーの流れに乗りきれないのだという。
なぜこうした作品が生まれたのか。その背景にはじまり、世界各地の創世記との違い、そして登場する神々から天皇まで、専門家とは異なる視点で古事記の楽しみ方を伝授。
(河出書房新社 935円)