「わんちゃ 利兵衛の旅」神崎宣武著

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「わんちゃ 利兵衛の旅」神崎宣武著

 テキヤ稼業で全国津々浦々を旅してきた大黒屋利兵衛の一代記。

 テキヤとは香具師と呼ばれる露店商人であり、その組合組織のこと。利兵衛が所属する本家熊屋駄知分家大黒屋は、セトモノ(陶磁器)を商品とする「茶碗屋」を主流に構成されており、利兵衛も60年間、セトモノ以外の商品は扱わなかった。

 利兵衛がテキヤになったのは明治45(1912)年、20歳のとき。以来テキヤ一筋で生きてきた利兵衛は、一年の3分の2は全国各地で行われる高市(祭りや縁日の仮設市)を巡り、商いを行ってきた。

 テキヤ社会のしきたりから、旅先での日常、そして失敗談まで。民俗学者が利兵衛をよく知る大黒屋の当代らにも取材を重ね、今では消えつつあるテキヤ社会の裏表を記録した貴重な一冊。 (筑摩書房 968円)

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