「なぜ炭治郎は鬼の死を悼むのか」久保華誉著

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「なぜ炭治郎は鬼の死を悼むのか」久保華誉著

 マンガやアニメで大人気の「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎は6人きょうだいの長男だが、留守のときに鬼に家族を殺される。生き残ったのは、すぐ下の妹、禰豆子(ねずこ)だけだった。これには理由がある。

 古来、日本の物語では、男子が苦難を乗り越えるためには「妹の力」が必要なのだ。民俗学者、柳田国男は「妹の力」に注目し、「祭祀・祈祷の宗教上の行為は、もと肝要なる部分がことごとく婦人の管轄であった」と指摘している。古事記にはサホビコが妹のサホビメに守られる話があり、説経節の「さんせう太夫」は死んだ安寿の霊が弟の厨子王を助ける物語で、いずれも“婦人”の存在が物語の核になっている。

「鬼滅の刃」の魅力を、「竹取物語」などさまざまな昔話から読み解く。 (草思社 1760円)

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