「おいしい食の流行史」阿古真理著

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「おいしい食の流行史」阿古真理著

 飛鳥時代に仏教の禁忌から肉食禁止令が出されて以来、日本では肉食はされていないと思われていたが、実はけっこう食べられていた。

 鎌倉時代にも肉を買う人はいたし、薩摩藩は黒豚の塩漬け肉を徳川家に献上していて、徳川慶喜は「豚将軍」と呼ばれるほど豚肉好きだった。

 明治末から昭和の初め頃には西洋料理が日本人好みの洋食に変化して、カレー、トンカツ、コロッケという「三大洋食」が生まれた。ヨーロッパで生まれたカツレツは、衣をつけた牛肉や鶏肉を揚げ焼きした料理だったが、日本では豚肉が使われ、油で揚げたトンカツになった。

 日本の食を生活史の視点から解き明かす、おもしろネタ満載のエッセー。

(青幻舎 1980円)

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