「食王」楡周平著
「食王」楡周平著
外食チェーンのオーナー社長の梅森は、旧知の森川から麻布に所有するビルを買って欲しいと頼まれる。築地で仲卸業を営む森川は豊洲移転を機に廃業を決意。終活のためにビルを処分したいという。
しかし、立地が飲食業には不向きで、同ビルも次々とテナントが替わり、長続きした店はない物件だった。バブル崩壊で地獄を味わった梅森が成功したのは、森川の尽力と励ましがあったからで、梅森はなんとかその恩に報いたい。ところが、部下らの反応は思わしくなく、梅森は私財でビルを購入することに。
同じころ、金沢の老舗料亭の花板に抜擢された順平は、11代目を継ぐ重則から東京に進出してイタリアンと懐石のフュージョン料理を提供する店を出すと打診される。
外食産業の内幕を描くビジネス小説巨編。
(祥伝社 990円)