「鎌倉仏教のミカタ」本郷和人、島田裕巳著
「鎌倉仏教のミカタ」本郷和人、島田裕巳著
鎌倉時代に誕生した鎌倉「新」仏教を新たな視点で論じた対談集。
戦前の日本史学は、法然、親鸞、一遍と続く浄土の教え(浄土宗系)をはじめ、武士と結びついた禅宗、そして蒙古襲来を予言した日蓮が立ち上げた鎌倉新仏教を高く評価した。しかし、戦後は仏教の太い幹は依然として天台宗・真言宗の密教であり、鎌倉新仏教は枝葉だとする主張が説得力を持ったという。
宗教学者の島田氏は、鎌倉仏教とは「近代が生み出した幻想」だと断じる。明治以降、各宗派の力を誇示するために開祖を偉大にみせるためのストーリーが作られ、神格化されたのだと。
仏教伝来から鎌倉新仏教の誕生、そして各宗派について論じたうえで、宗派という枠組みから外れて仏教とは何かを論じていく。 (祥伝社 1034円)