(4)おのれ田沼意次め
若い武家の憤怒は尋常にあらず。こめかみには癇性の証、うねうねと血管が浮き出ている。
「おのれ田沼意次め」
「お静まりを」
田沼の名が武家の口を衝いた途端、郎党たちは辺りに眼を配り、武家を取り巻く輪を狭めた。田沼意次は老中職、幕閣の中枢として権勢をふるっている…
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