(7)これっきり、父はいなくなった
重三郎は父の重助がいなくなった日のことをよく覚えている。
あの日、重三郎は寝っ転がって絵草紙を読んでいた。楠木正成の最期、湊川の決戦を描いた画に胸が躍る。
廊下を渡る音がして、眼を上げたら西陽を背にし、黒い影になった父がいた。父は何もいわない。表情もわからない。…
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